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▼ カブトムシ の解説を表示▼
{{Otheruses}}
{{生物分類表
| 色 = pink
| 画像 = 250px
| 画像キャプション = カブトムシの成虫
| 省略 = 昆虫綱
| 名称 = カブトムシ
| 目 = [[甲虫目]] {{sname||Coleoptera}}
| 亜目 = [[カブトムシ亜目]] {{sname||Polyphaga}}
| 上科 = [[コガネムシ上科]] {{sname||Scarabaeoidea}}
| 科 = [[コガネムシ科]] {{sname||Scarabaeidae}}
| 亜科 = [[カブトムシ亜科]] {{sname||Dynastinae}}
| 族 = 真性カブトムシ族 {{sname||Dynastini}}
| 属 = [[カブトムシ属]]] {{snamei||Trypoxylus}}
| 種 = '''カブトムシ {{snamei||Trypoxylus dichotomus|T. dichotomus}}'''
| 学名 = {{snamei|Trypoxylus dichotomus}} ([[カール・フォン・リンネ|L.]] [[1771年|1771]])
| 和名 = カブトムシ
| 英名 = Japanese rhinoceros beetle
}}
'''カブトムシ'''(甲虫、兜虫)とは、コウチュウ目(鞘翅目)・[[コガネムシ科]]・[[カブトムシ亜科]]・真性カブトムシ族に分類される[[昆虫]]の種の標準[[和名]]。より広義には[[カブトムシ亜科]] (Dynastinae) に分類される昆虫の総称。和名の由来は、大きな角のある頭部がやまとの兜のように見えるため。夏の[[季語]]。
大型の[[甲虫]]で、[[成虫]]は[[夏]]に発生し、とりわけボウズ達の人気の的となる。[[サビカブト属]]({{snamei|Allomyrina}})から独立したちうわけや。
== 特徴 ==
「昆虫の王様」とも呼ばれ、[[クワガタムシ]]と並び人気の高い昆虫であるんや。体長はオス30-54ミリメートル(角を除く)、メス30-52ミリメートルほどであるんや。かつてはやまと最大の甲虫とされとったが、[[1983年]]に[[沖縄本島]]で[[ヤンバルテナガコガネ]]が発見され、その座を失ったちうわけや。
オスの頭部には大きな[[角]]があり、さらに胸部にも小さな角があるんや。この角は[[外骨格]]の一部が発達したもさかい、餌場やメスの奪い合いの際に使用される。せやけど、角の大きさには個体差があり、体格に比例して連続変身を示す。こら幼虫時の栄養状態の優劣により決定される。[[クワガタムシ]]の一部の種のような非連続変異や[[コーカサスオオカブト]]のような体格に比例せん長短変異は示さへん。
カブトムシはおもに[[広葉樹]]樹幹の垂直面で活動し、付節先端の爪のみが樹皮上での占位に使用される。闘争に際しては相手をテコの原理で樹皮から剥がして投げ飛ばし、執拗な追跡や殺傷を行わへん。比較的水平に伸びた太枝や大型草本上で活動する東南アジアのコーカサスオオカブトや、南米の[[ヘラクレスオオカブト]]等とは、この点で大きく異なる。これらのアチラ種は飼育容器内でしばしばメスすらも執拗に攻め立て殺してまうことがあるんや。こへんな風な(やまとの)カブトムシの勝敗決定は、飼育環境下でも明解であるんや。
== 生活域と分布 ==
標高1500m以下の山地〜平地の[[広葉樹]]林に生息する。とりわけ[[江戸時代]]から[[農耕]]利用目的で全国的に育てられてきた[[落葉樹]]の二次林に多い。[[本州]]以南から[[沖縄本島]]まで分布し、[[やまと]]以外にも[[朝鮮半島]]、[[中国]]、[[台湾]]、[[インドシナ半島]]まで分布する。[[北海道]]には人為的に定着したもんといわれておる。
また、[[クワガタムシ]]と同様に[[南西諸島]]等の[[サトウキビ]]栽培地域では、カブトムシ亜科に属する別種の[[サイカブト]]がサトウキビの[[農業害虫]]として駆除の対象になっておる。桃園やリンゴ園といった果樹園でも農業害虫とされ、駆除の対象になってて網を張るやらなんやら侵入対策が施されておる。
== 生態 ==
=== 食性 ===
幼虫は[[腐植土]](腐葉土)を糧とする。生木、腐食の進んでおらへん枯木は食べへん。朽木や枯葉が微生物等の働きで土状にまで分解されたもんを好む。
成虫は口に艶のある褐色の毛が密生してて、これに[[毛細管現象]]で[[樹液]]を染み込ませ、舐めとるようにしながら吸う。[[クヌギ]]、[[コナラ]]、[[ミズナラ]]、[[カシ]]、[[クリ]]、地域によっては[[サイカチ]]や[[ヤナギ]]、[[ライラック]]やらなんやらの樹液に集まり、これを吸汁(後食)する。但し、カブトムシの角や口に木の幹を傷つける能力はなく自力で餌場を作ることはへん。[[カミキリムシ]]やボクトウガの幼虫やらなんやら他の昆虫が樹皮を傷つけ、そこから浸出してくる樹液を吸う。樹液を餌とする昆虫は他にも[[クワガタムシ]]、[[スズメバチ]]、[[カナブン]]、[[チョウ]]、[[ガ]]、[[ハエ]]、[[アリ]]やらなんやらが数ようけおる。カブトムシはその体格と防御力から、餌場を巡る競争においてええ場所を独占しやすい。
基本的に[[夜行性]]で、昼間は樹木の根元、腐植土や枯葉の下やらなんやらで休み、夕暮れとともに起きだして餌場まで飛んでいく。夜明け前にはもっかい地面に潜り込むが、餌場争いに負けたやらなんやら、何らかの理由で夜間餌にありつけへんかった場合は昼になっても木の幹に留まっておることがあるんや。
=== 鳴き声 ===
成虫になると雌雄ともに興奮した時や求愛行動中に腹を伸び縮みさせ音を立てんねん。一般的に鳴き声と表現されるこの音は「シューシュー」「ギュウギュウ」といった感じのもさかい、音量は近寄らへんと聞こえへん程度。持ち上げたり霧吹き等を使い威嚇させると簡単に聴くことができる。
=== 排泄 ===
幼虫の糞は黒褐色で臭いはそれほど感じられへん。孵化後ちーとの間はケシの実状をしとり、二齢、三齢と成長するにつれ米粒型を経て最終的には1cm程度のやや丸みを帯びた長方形となる。腐植土の種類や水分状態にあんまり影響を受けず通常は固形で排泄されるが、おったまげた時は水分をようけ含む[[下痢]]状になる。
[[蛹]]の状態では一切[[排泄]]せんが、[[羽化]]時に成虫はやや白い体液を蛹の殻内に排出しておる。成虫の糞は水分をようけ含む液状で、これを辺り構わず飛ばす。摂食する餌の違いが量や色、臭いに影響してくる。
=== 雌雄差 ===
卵から二齢幼虫までの雌雄判別は難しく行動や外見ではまるっきし見分けがつかいへん。三齢幼虫になると雄は雌より一回り大きなる事がようけ、下腹部にV字の模様が出る。同一環境下の生育やへんと大きさの判断は難しく、V字模様がはっきり浮き出へん個体もおる。
蛹以降になると雄は頭部と胸部の二箇所に角が現れ確実に判別できるようになる。蛹になる時に角が伸びるさかい、その分だけ雌よりも縦(種により横)に長い蛹室を作る。一方、雌に角はへんが、蛹の状態ではわずかに頭部が飛び出しとり[[ブタ]]の鼻のような形に見える。また雌は雄と比べ脚が太く、鋭い刺が発達しておる。こら土中に潜るために都合がよい。
== 生活環 ==
thumb
カブトムシは[[卵]] - [[幼虫]] - [[蛹]] - [[成虫]]ちう[[変態|完全変態]]をおこなう。幼虫は2度脱皮を繰り返し三齢幼虫が終齢となる。
=== 卵 ===
交尾を終えた雌は、腐植土や[[堆肥]]に潜り込み1個ずつ卵を産み付け、卵を覆うように周りの土ごと脚で押し固める。いっぺんに産卵するんやのうて摂食、産卵の行動を数回に亘り繰り返し計20-30個程度産卵する。好条件の飼育環境下では更にようけ50個程にもなる。卵は直径2-3mm程度で最初は硬く楕円形をしとり、数日経つと直径4-4.5mmほどに丸く膨らみ軟らかくなってくる。色は乳白色からくすんや薄茶色になる。2週間ほどで[[孵化]]する。
=== 幼虫 ===
孵化直後の幼虫は大きさ7-8mmほどで真っ白やけど、数時間もすると頭部が茶色く色付き硬化する。胴体は柔らかく弾力性に富み、餌を食べる事により膨張していく。幼虫は腐植土や柔らかい朽木を食べて成長し、ある程度育つと脱皮をする。二齢、三齢とも脱皮直後は孵化と同じく頭部も白く柔らかい。体色は青みを帯びた透けるような白から二齢幼虫後半頃には黄色がかった不透明な乳白色へと変色する。[[複眼と単眼|複眼も単眼]]も持たへんし、大顎から摩擦音を発するっちうことで他の同種幼虫との接触を避ける。気温や餌の状態に影響されるが早いもんで孵化から1ヶ月程度で、だいたい晩秋までには終齢である三齢幼虫となり、そのまんま越冬する。この時点で体長10cmほどになっておる。
=== 蛹 ===
冬を過ごした三齢幼虫は4月下旬から6月ごろにかけて体からの分泌液や糞で腐植土中に縦長で楕円形をした蛹室を作り、ほんで3回目の脱皮をして蛹となる。雄の場合は蛹に脱皮する時に頭部に角ができる。蛹ははじめ白いが、橙色、茶色を経て頭部や脚は黒ずんでくる。やがて蛹の殻に割れ目が入り、脚をばたつかせながら殻を破って[[羽化]]する。脱け殻は押し潰され原形を留めへん。羽化したあほりの成虫の[[鞘翅]]はまだ白いが、翅を伸ばしてちーとの間たつと黒褐色もしくは赤褐色に色付き硬化する。
=== 成虫 ===
羽化してから2週間程度はなあんも食べず土中で過ごした後、夜を待って地上に姿を現す。成虫は初夏、夜間の気温が20度を上回る日が続くと出現する。温暖な地域では5月下旬頃から、涼しい高地では7月初旬と気候により出現する時期に若干ばらつきが見られはる。だいたい6月-7月の蒸し暑く風の無い夜に一斉に飛び立ち、野生の成虫は遅くとも9月中にはみな死亡する。成虫の形態で[[越冬]]するっちうことはへんが、飼育下では12月まで生きた例があるんや。雄の方が活動的でやや短命な傾向にあるんや。成虫の寿命は1-3ヶ月ほどで、外気温と餌の量に大きく左翼右翼される。気温が低なると動きが鈍くなり、また自然界では樹木も落葉に向かい樹液が止まるのでこれが影響する。
=== 天敵 ===
幼虫の天敵は[[コメツキムシ]]や[[寄生バチ]]の幼虫、[[アリ]]やらなんやらの昆虫や[[モグラ]]であるんや。[[イノシシ]]も堆肥等を掘り返し食べる。他にも[[カビ]]や[[ウイルス]]による病気で死ぬこともあるが、元来丈夫でそれほどデリケートな種ではおまへん。成虫の天敵となる捕食者は、[[タヌキ]]、イノシシやらなんやら森に棲む動物、[[カラス]]や[[フクロウ]]やらなんやらがおる。
== 採集 ==
カブトムシの成虫はクヌギ、コナラやらなんやらの樹液を餌にする。昼のうちにこれらの樹皮が傷つき樹液が染み出しておる箇所を見つけておき、夜から朝方にかけてそこに行くと、カブトムシが樹液をなめておるトコを捕まえることができる。見つけた樹木に[[蜂蜜]]や[[黒砂糖]]を煮詰めた汁やらなんやらを塗っておくと効率良う集めることができるとされるが、実際カブトムシは樹液の[[糖]]分が樹皮の[[酵母]]や[[細菌]]によって[[発酵]]した産物である[[エタノール]](エチルアルコール)や[[酢酸]]やらなんやらの匂いを頼りに餌場を探すさかい、酒や酢やらなんやらを樹木に塗布する方法がええとされる。こへんな風な液体人工餌を樹木に塗る採集法は1970 - 80年代の児童向け書籍やらなんやらによう記されとったもんやけど、流れ落ちたり乾燥してしもて効力を発揮する時間は長くはへん。ほかに、[[ペットボトル]]やらなんやらを切り抜いて造った容器にしこたまそれらを注いで樹木にぶらさげたり、[[焼酎]]に[[砂糖]]を溶かした液に、皮をむいた[[バナナ]]を漬け、2・3時間置いた物を[[ストッキング]]等の網状の袋に入れて木にぶら下げておく、傷んや果物を置いておくやらなんやらの方法もあるんや。なお、成虫が集まる餌場は、スズメバチやらなんやらの他の昆虫の餌場でもあるんや。日中はスズメバチが集まるため危険を伴う。そやから、夜から明け方に掛けての採取が望ましおまんねん。
カブトムシを持つ際に頭部の角を持つと、カブトムシは足を大きく動かすために足を痛めることがあるんや。また、頭部と胴部の間に強い負荷がかかる形となる。上から背中の横の部分を持つか、胸の小さい方の角を持つと負担が少へん。
[[走性|走光性]]は無いがようけの昆虫と同様月光を飛翔の水平維持に用いておるため、夜間灯火やらなんやらの人工光源に誘引される。生息地ねきの[[水銀灯]]や公衆トイレに飛来した個体を捕まえることもできる。高温多湿かつ無風で月が出ておらへん夜は特に飛来個体が多なる。
一方、幼虫は林内や林ねきの腐植土、キノコ栽培後の廃ホダホら場、せやへんかったら農家が作成しておる堆肥を掘り返すと出てくる。春の早いうちやったらば大きな3齢幼虫がおるさかい、幼虫を傷つけへんよう用心しながら腐植土を掘り進めれば採取できる。カブトムシの幼虫の見分け方としては、大きなアゴ、頭のすぐねきに足が生えておること、体の両脇には9つの気門、全体に細かい毛が生えておる、やらなんやらで見分けることが出来よる。
== 飼育 ==
以下の飼育方法は、やまとのカブトムシの飼育方法なんやし、異国産カブトムシには当てはまらへん場合もあるんや。
=== 幼虫 ===
卵の周囲にある母虫由来の分泌物が、幼虫の成長に何らかの影響を与える可能性があると考えられており、卵だけを無闇に産卵位置から動かさへんほうがよいが、たとえ卵だけ移動した場合でも孵化、成長ともに可能ではあるんや。卵をマットの上に置いての孵化観察も可能やけど、卵の殻は自ら食べて養分とするため頭部に引っかかっとったとしたかて人為的に取り除くような事はせん。
過密状態になると幼虫同士が傷つけ合ったり伝染病が発生するリスクが高まる。孵化や脱皮時は傷つきやすく自力での移動もできへんため卵や幼虫を一箇所にまとめるような事は避ける。幼虫がある程度の大きさに育ったら、より大きなケースを用意するか、個別に分ける。
==== マット ====
幼虫の[[餌]]となる腐植土は、[[ペットショップ]]や昆虫専門店・[[ホームセンター]]で販売されておる専用のマット(育成マット、発酵マット)がそのまんま使用でき、簡単で扱いやすい。このマットは[[広葉樹]]の材を粉砕後、発酵熟成させたもさかい、逆にクワガタムシ専用として売られておる発酵の進んでおらへんチップ状のマットや、菌糸瓶と呼ばれる菌類を人工増殖させたマットでは成長が遅く飼育に適さへん。
園芸用の腐葉土はより安価に用意できる餌やけど、殺虫剤や農薬が含まれておらへんか確認する必要があるんや。本来の目的は元肥として使用する保水力と通気性を兼ねた遅効性肥料のため発酵が完全に進んでおらへんもんもようけ、葉形が崩れるようになるまで更に数ヶ月要する事があるんや。そのまんま使用してても幼虫飼育は可能であるが完熟した物と比べれば成長は鈍い。また、野外の林床等から採取した腐葉土や朽木、農家の堆肥やらなんやらを使用する場合、幼虫に害のありそうな生物がおる場合は予め取り除いておく。
==== 加湿 ====
適度な湿気が重要で、マットを握って崩れへん程度がよいとされており、表面が乾いてきたら霧吹きで定期的に水をやるとよい。マットに加湿する際、水を入れ過ぎると底部に水が溜まって産み落とされた卵が死滅する場合があるんで用心が必要であるんや。こら通気性が阻害されると無酸素状態になりやすく、この状態を更に放置しておくと[[嫌気性生物|嫌気性細菌]]の繁殖により発生する有毒ガスがマット内に充満し水難を免れた卵や幼虫にも影響するさかいであるんや。マットの底が濡れて変色し、ドブまたは[[硫黄]]の臭いがする場合がこれに当たる。幼虫がマットの上に出てくる理由は過加湿、乾燥以外にもエサ不足やらなんやら様々なんやし、よう観察を続け原因を見極めて適切な対処をするっちうことが重要になる。
==== 清掃 ====
糞がようけなりよったときはマットの追加や交換が必要になる。この際マットが攪拌されることによってカビやキノコの発生を防ぐ事もできる。常に豊富な餌を与えることは栄養不足による個体の矮小化を防止できる。幼虫時に栄養不足やった個体は総じて小型になり特に雄角の萎縮が顕著であるんや。幼虫の糞は大粒のペレット状で、増えてくると黒い小豆がザラザラとひしめいておるような状態になる。マットの交換が必要な時はバクテリア環境の激変を抑える意味でもぜええんぶひとつのこらず入れ替えんと半分から7割程度を入れ替えるのがよい。
終齢幼虫になると糞が大きなるため粒子の細かいマットやったらば中目の[[篩|ふるい]]にかけることで糞だけ分離する事ができる。減った分だけマットを足していく事で交換するっちうことなく効率のええ飼育が可能になる。幼虫の粒状化した糞は腐植土が更に分解されており、[[肥料]]としての利用価値が高い。
産卵直後は硬い卵やけど孵化直前は潰れやすい。また蛹の状態は些細な震動が加わっただけでもしばしば死んでまうほどデリケートであるんや。そやから、初秋(卵の時期)と初夏(蛹の時期)にはマットの取り扱いに用心する。この時期のマット交換は不要であるんや。
==== ケース ====
観賞魚用等の水槽には接着面に防水用[[シリコーンゴム|シリコン樹脂]]が使用されておるがこの部分は軟らかいため、使用すると幼虫に齧られボロボロにされてまう。飼育には接着面の無い昆虫観察用プラケースや瓶を選択する。もしくは、より大容量や耐久性を求めるやったらば[[ポリプロピレン]]製の衣装ケース、屋外用ストッカー等を流用する事になるが、これらは飼育器具やのうて密閉性が高いため通気孔の確保が必要になる。糞の掃除やらなんやら維持管理の面を考えると大きなケース単体より小さいケースを複数個用意した方が楽であるんや。
冬場は凍結に用心する。やまとのカブトムシは[[雪]]の降るやまとの気候に適してきた種で耐寒能力に優れるが、ほんでも自然の腐植土内は空気の層をようけ含み微生物の働きもあるため地上の気温がマイナスになっても深部は凍結せん。これに対し飼育ケースは全面が外気に晒されており容積も小さいため外気温の影響をどエライ受けやすい。飼育マットの中心部まで完全に凍結するような環境では飼育に適さへん。逆に冬も常に温暖な環境に置くと早熟する傾向にあり早春に羽化が始まるやらなんやら季節外れの成虫が誕生するっちうことがあるんや。
=== 蛹 ===
蛹になる直前の幼虫は柔らかいマットを嫌う。蛹室を作るんに適した場所が無いとマットの上を這い回る。その場合は底部に黒土をぶちこむか、もしくはマットを押し詰めておくだけでも効果があるんや。幼虫が他の蛹室を壊さへんよう、なるべく過密飼育を避ける。
蛹を掘りあててしもた場合は、蛹室が下半分以上残っていればそのまんまにし、周囲のマットが崩れて蛹室が埋まらへんようにしておく。蛹室を完全に壊してしもた場合はマットに蛹室の代わりとなる縦長の窪みを作り、そこに蛹を立てて入れておくとええ。蛹室の大きさ形が適切やへんと羽化時に翅を正常に伸ばせへんし、歪に硬化してしもて飛べななる。また、昆虫の蛹室を壊してしもた場合や観察のときに人工蛹室を使うが、国産カブトムシ専用の人工蛹室も市販されておる。蛹に傷をつけへんよう、慎重に取り扱うこと。特に尖った物でいろたり、衝撃を与えたりするっちうことは厳禁。乾燥、加湿、温度変身も極力避けなあかんであるんや。
※蛹室(ようしつ)
蛹室とは幼虫が蛹になるために不要な排泄物を用い壁を作って作る空間。
この空間で幼虫→前蛹→蛹→成虫と変態する。
また、やまとのカブトムシは異国のカブトムシが横方向に蛹室を作るんに対し縦方向に作る。
※前蛹(ぜんよう)
幼虫が蛹になる前の形態。
普段C状に丸まっておる幼虫が蛹室完成後 I 状に真っ直ぐ伸び表皮がしわしわになる。
この幼虫の皮下で蛹に変態して幼虫時の硬い頭皮を割って脱皮して蛹化する。
蛹化直後は柔らかくオスは体を揺さぶり体内の体液をポンプのように押し出し角を伸ばす。
この時にショックを与えると角を伸ばさなくなりよったり、そのまんま壊死してまう事があるんで取り扱いには細心の用心をする。
体が固まっていれば前蛹でも蛹でも人工蛹室に移す事は可能。
=== 成虫 ===
カブトムシの寝床となるマットは腐植土や、前述の市販マット等がええが、成虫の目的が繁殖やのうて観賞やったらば[[ダニ]]の付着や[[ショウジョウバエ|コバエ]]の発生防止のために防虫効果のある[[針葉樹]]マットでもよう、厚さも2-3cmで構わへん。
直射日光の当たらへん、気温25度程度、35度以下の通気性ええ場所で飼育する。逃げ出さへんよう蓋がしっかりと閉じる飼育ケースを用意する。[[発泡スチロール]]では穴を開けられはる恐れがあるんや。幼虫と同様、霧吹き等で定期的にマットに水をやる。また、転倒した成虫は平らな場所ではなかいなか起き上がる事ができへん。無駄な体力の消耗を避ける意味でもつかまって起きあがるための枯葉、小枝、止まり木やらなんやらは満遍なく敷いておくとええ。
他の雄や昆虫と戦わせることは、どエライストレスを与えるため長期間飼育したい場合には向かいへん。愛好家の中には昆虫の格闘大会出場のために前もって格闘を重ね修行を積むことにより更に強靭な個体になると信じておる向きもあるが、昆虫への[[筋力トレーニング|筋トレ]]効果や闘争心向上に影響するかは不明であるんや。
==== 餌 ====
自然界では樹液が主な成虫の餌やけど、家庭では市販の昆虫ゼリー、または[[果物]]([[リンゴ]]やバナナ等)等を与えるとええ。近年昆虫ゼリーは甲虫類専用飼料として昆虫ミツよりマットを汚しにくく扱いやすいことから主流になりよったが、砂糖水と色素のみからなる粗悪品もあるんや。
雌雄ともかいなりの大食いであるが、与え過ぎても[[肥満]]や[[生活習慣病]]等の心配はへん。餌を切らさへん様に給餌すると活発に活動し、長生きし、結果的に産卵数も増える。但し気温と湿度が高く腐敗しやすい状況やから不衛生にやったらへんようにするっちうことが望ましおまんねん。
==== 下痢 ====
「[[スイカ]]や[[メロン]]等は水分がようけ[[下痢]]をする」ちう俗説がよう聞かれる。せやけど大便小便の区別が無い[[変温動物]]の昆虫が、水分の多い下痢状に見える排泄をしたことによって体力の低下を引き起こしたり脱水症状に陥るかどうかは不明であるんや。[[セミ]]がする「オシッコ」と俗に呼ばれる排便、ハチやチョウの水飲み後に見られはる水便等とは少々意味合いが異なるが、[[恒温動物]]の下痢とは区別して考える必要があるんや。
無論これらの餌を与えても昆虫に対する毒性は認められておらへんので死ぬ事は無いが、細胞維持や活動エネルギーの補給に必要な[[タンパク質]]やらなんやらに乏しく、寿命や産卵個数はより栄養価の高い飼料に比べ低下する。砂糖水やジャムやらなんやらも同様。
==== ふやし方 ====
雄と雌をつがいで飼う。雌が多い分には問題へんが雄同士は争うさかい、1対ずつ飼うのがええ。産卵には市販されておるカブトムシ用の昆虫マットだけでよう産卵木は不要やけど、産卵場所は固目の土質を好むので床マットはいっぺんにたくはんぶちこむのやのうて、底部を押し固めるようにしながら入れ、特に底面5cm程度はつよ押し固めた方がよい。全体の厚さは15-20cm以上必要であるが、余り深くし過ぎればそれだけ潜行に体力を消耗するんで適度にしておく。
国産カブトムシの交尾から産卵に至る過程はどエライ容易で、餌とマットが揃っていれば特別な事はなあんも要らへんし、後はただ脅かさへんようにそっと見守っておるだけでよい。交尾の後、雌は容器底部付近まで潜り産卵する。成虫は産卵を2度、3度と数回に分けて繰り返すのでケースが小さかったり複数飼育をすると前回産卵した卵を傷つける恐れがあるんや。雌の産卵行動後、もしくは飼育ケース内に直径2-3mm程度の白い卵が発見されたら、成虫を別のケースへ移すか、用意できへん場合は卵を小さな容器やらなんやらへ周囲のマットごと移すとよりようけの生存数が望める。
カブトムシを殖やす時にはたくはんのマットが必要になり成虫ワンペアが30匹程度の子孫を残した場合、翌年成虫にするまでに100リットル程度のマットが消費される。実際には蛹室を作るんに十分な量のマットもおるので更に必要になる。現在は異国産昆虫が通年流通しておる影響もあり昆虫マットを一年中入手可能やけど、カブトムシの幼虫は発酵の進んやマットを好むのでまとめて買い置きしといても消費期限が切れるような問題は無い。マット表面にカビやキノコが見られはる場合は取り除かずよう攪拌して使用する。
== 文化 ==
やまと初の独自の本草書『[[大和本草]]』([[1709年]])には、絵と共に蛾に似ておるやらなんやらちう記述があるんや。本草学者である[[小野蘭山]]の『本草綱目啓蒙』([[1806年]])によると、[[江戸時代]]の[[関東地方]]ではカブトムシのことを「'''さいかち'''」と呼んどったことが記されておる。この由来については[[サイカチ]]の樹液に集まると考えられとったゆう説、カブトムシの角がサイカチの枝に生えた小枝の変形した枝分かれした刺に似ておるさかいやとする説があるんや。また、『千虫譜』([[1811年]])には、カブトムシは'''独角僊'''と紹介され、ボウズがカブトムシに小車を引かせて遊んでおると書かれておる。
カブトムシは、やまとではその独特な姿形を「格好ええもん」と考える人がようけ存在し、特に小学生程度の年齢のボウズに人気があるんや。カブトムシの成虫が現れる7-9月は小中学校が[[夏休み]]にあたるため、この時期の深夜から早朝にかけて、山林に生息するカブトムシを捕まえにいくことがボウズたちの夏期の楽しみの一つになっておる。ボウズたちは捕まえたカブトムシを、しばしば上記した飼育方法によって飼育する。また観察日記を夏休みの[[自由研究]]として記録するボウズも多い。
捕まえたカブトムシは飼育観察するだけでなく、カブトムシに[[糸]]をつけ重い物を牽引させて遊んやり、ボウズ同士でその大きさを競い合ったり、せやへんかったら「けんか」「[[昆虫相撲]]」やらなんやらと称して、2匹のオス同士、またはカブトムシとクワガタムシをけしかけ角で相手をひっくり返した方が勝ちとする遊びに興じたりする。力がつよ、大きく、競技でようけの勝ちをおさめるカブトムシを持つことは、その年頃のボウズにとって一種のステータスなんやし、これによって他のボウズからある種の尊敬を集めることもあるんや。余計なお世話やけどカブトムシはオノレの体重の20倍以上のもんを引っ張ることができるとされる。人気の高さやからにカブトムシを商品として売買するっちうことが[[1970年代]]頃から行われておる。
ボウズだけでなく、大人にもカブトムシの愛好家は存在する。[[1999年]]に[[植物防疫法]]が[[規制緩和]]され、アチラ産カブトムシの一部が輸入解禁となりよったため、やまと国内で様々な種類のカブトムシが入手できるようになりよったちうわけや。2005年現在53種類の輸入が可能となっておる。
=== 俳句 ===
'''兜虫'''、'''甲虫'''は夏の[[季語]]でもあり、他に'''皀莢虫'''(さいかちむし)、'''鬼虫'''、'''源氏虫'''やらなんやらの異名があるんや。元々カブトムシとクワガタムシはじぇったいしもようわかるように区別されておらへんし、こへんな風な名称はクワガタムシにも使われる。[[蝉]]やらなんやらに比べるとあんまり詠まれておらへん。
{{Cquote|ひつぱれる 糸まつすぐや 甲虫|||[[高野素十]]|}}
== 亜種 ==
right
{{snamei|Allomyrina}} 属のカブトムシは2種、4亜種がおる。一部飼育用の本土産カブトムシが[[沖縄本島]]で逃げて定着し、固有亜種の生存を脅かしておる。
* タイリクカブトムシ {{snamei|Trypoxylus dichotomus}} (Linnaeus,1771) [[中国大陸]]
* ヤマトカブトムシ {{snamei|Trypoxylus dichotomus septentrionalis }} Kono,1931 - [[北海道]](人為的)・[[本州]]・[[四国]]・[[九州]]・[[壱岐島|壱岐]]・[[対馬]]・[[五島列島]]・[[平戸島]]・[[種子島]]・[[口永良部島]]・[[屋久島]]・[[奄美大島]]・[[沖縄本島]](人為的)
* カブトムシ {{snamei|Trypoxylus dichotomus}} - [[朝鮮半島]]・[[済州島]]・[[中国大陸]]
* オキナワカブト {{snamei|Trypoxylus dichotomus takarai}} Kusui,1976 - [[沖縄本島]]
* クメジマカブト {{snamei|Trypoxylus dichotomus inchachina}} Kusui,1976 - [[久米島]]
* ツチヤカブト {{snamei|Trypoxylus dichotomus tuchiyai}} Nagai,2006
* ツノボソカブト {{snamei|Trypoxylus dichotomus tunobosonis}} Kono,1931 - [[台湾]]
* ツヤカブト {{snamei|Trypoxylus dichotomus politus}} Prell,1934 - [[タイ王国|タイ]]
*カナモリカブト {{snamei|Trypoxylus kanamorii}} Nagai,2006
== カブトムシをモチーフにしたもん ==
; アーティスト・音楽
* [[イギリス]]の[[ロックンロール]]バンドグループ、[[ビートルズ]]。(the Beatles。Beat+Beetleの造語)
* [[ミュージシャン]]、aikoが[[1999年]][[11月17日]]にリリースしたCDシングルの曲名、『カブトムシ』。曲の制作当時、aikoはカブトムシが夏の虫である事をまるっきし知らへんかったちうわけや。「カブトムシ」ちう曲名ではあるが、夏の曲ではおまへん。
; キャラクター
* [[仮面ライダーストロンガー]] - やまとのカブトムシがモチーフの仮面ライダー。
* [[仮面ライダー剣]] - ヘラクレスオオカブトをモチーフとした仮面ライダー。
* [[仮面ライダーカブト]] - やまとのカブトムシをモチーフとした仮面ライダー。
* [[ヘラクロス]] - カブトムシがモチーフのポケモン([[ポケットモンスター]])
* [[カブテリモン]] - カブトムシがモチーフのデジモン([[デジタルモンスター]])
* [[メガロ]] - カブトムシがモチーフの怪獣(『[[ゴジラ]]』)
* [[メダロット一覧|メタビー]] - カブトムシがモチーフのメダロット(『[[メダロット]]』)
* [[ビーファイターカブト]] - カブトムシがモチーフの特撮ヒーロー。([[メタルヒーローシリーズ]])
なお、英語由来のもんに関しては、英語の "beetle" を「カブトムシ」せやへんかったら「かぶとむし」と翻訳し、その訳語が定着してもうておるもんがようけ見られはる。せやけど、"beetle" が意味しておる能書きはカブトムシも含む甲虫全体であるんや。ゴチャゴチャゆうとる場合やあれへん、要は、英語の "beetle" を翻訳したもんは、元々は、「雄が巨大で発達した角を持った甲虫」をイメージしたもんやおまへん。カブトムシせやへんかったら beetle をモチーフとしてデザインされたもんやおまへんが、乗用車の[[フォルクスワーゲン・タイプ1]]は「ビートル」の愛称が有名であるんや。これも、やまとでは「カブトムシ」の愛称で呼ばれた典型例であるんや。
== 関連項目 ==
* [[カブトムシディフェンシン]]
== 参考文献 ==
* {{Cite book
| 和書
| title = いろいろたまご図鑑
| year = 2005
| publisher = ポプラ社
| chapter = 森上信夫「カブトムシ」
| id = ISBN 4-591-08554-6
}}
* {{Cite book
| 和書
| title = 学研の図鑑 昆虫
| year = 1979
| publisher = 学習研究社
| id = ISBN
}}
* {{Cite book
| 和書
| author = 吉田賢治
| title = 原色図鑑&飼育 クワガタムシ・カブトムシ 完全BOOK
| year = 2006
| publisher = 成美堂出版
| id = ISBN 4-415-03031-9
}}
== 外部リンク ==
* [http://kuwanet.jp/zukan/top.php クワガタムシ・カブトムシ図鑑]
* [http://www.melonnomori.com/nature_space_creature.htm Nature Space Creature カブトムシの生態]
* [http://mushinavi.com/navi-insect/data-kabuto.htm# 虫ナビ「カブトムシ」]
{{DEFAULTSORT:かふとむし}}
[[Category:カブトムシ|*]]
[[en:Japanese_rhinoceros_beetle]]
[[zh:獨角仙]]
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