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▼ 麻痺 の解説を表示▼
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Name = 麻痺 |
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'''麻痺'''(まひ、元の用字は'''痲痹''')とは、一般的には、四肢やらなんやらが完全に機能を喪失しておることや、感覚が鈍ちう、もしくは完全に失われた状態を指す。比喩的に使われることもようけ、「金銭感覚が麻痺する」「交通麻痺(=極度の[[渋滞|交通渋滞]]や災害等により、道路機能が失われること)」やらなんやらの用例があるんや。
[[医学]]用語としての麻痺は、[[中枢神経]]せやへんかったら[[末梢神経]]の障害により、身体機能の一部が損なわれる状態をさす。例うたら運動したろおもてしたかて、[[四肢]]やらなんやらに十分な力の入らへん・四肢の感覚が鈍く感じる状態(不全麻痺)、またはまるっきし動かすことができへん・感覚がまるっきし感じられへん状態(完全麻痺)を指し、一般用語の'''不随'''に近い意味を持つ。麻痺には、運動神経が障害される[[運動麻痺]]と、感覚神経が障害される感覚麻痺(知覚麻痺)があるんや。また中枢が障害される中枢性麻痺と末梢神経が障害される末梢性麻痺に分類される。
== 運動麻痺 ==
診断学においては'''麻痺'''(paralysis)とは運動障害なんやし、感覚障害を示す言葉ではおまへんと考えられておる。せやけど、書物により定義が一定しておらへんし、混乱を避けるため、'''運動麻痺'''せやへんかったら'''運動障害'''といった言葉を用おることが多い。ここでは診断学におけるparalysis、即ち運動麻痺に関して述べる。なお、運動機能には随意運動、[[不随意運動]]、協調運動が知られておるが運動麻痺といった場合は随意運動の機能障害と考えられておる。
運動麻痺には程度と分布による分類が知られておる。'''完全麻痺'''(paralysis)は[[骨格筋]]の随意運動が完全に喪失した状態を示す。'''不全麻痺'''(paresis)は運動麻痺分布が部分的やったり、運動麻痺の程度が不完全な状態を示す。分布では'''単麻痺'''(monoplegia)は四肢のうち一肢のみの運動麻痺であるんや。'''片麻痺'''(hemiplegia)は身体の一側に限局する運動麻痺なんやし、運動麻痺の頻度としては最も多い。[[神経診断学]]として重要な片麻痺に交代性麻痺と交叉性麻痺ちうもんがあるんや。'''交代性麻痺'''(alternating hemiplegia)とは対側の[[脳神経]]麻痺を伴う片側の上下肢麻痺であるんや。こら脳幹病変の存在を示唆する。皮質、皮質下の障害である場合は脳神経の麻痺側と四肢の麻痺側が同側となるため重要な所見であるんや。'''交叉性麻痺'''(crossed hemiplegia)は一側の上肢麻痺と対側の下肢麻痺のことでありこら延髄下部の錐体交叉部病変の所見と考えられておる。頻度としてはどエライ少へん。'''[[対麻痺]]'''(paraplegia)は両下肢の運動麻痺なんやし、[[脊髄]]や[[大脳]]中心前回正中の占拠性病変やらなんやらで起こる。'''四肢麻痺'''(quadriplegiaまたはtetraplegia)は両側上下肢の運動麻痺であるんや。また両麻痺(diplegia)ちう言葉もあり、四肢麻痺のうち下肢の麻痺が強いもんとされておるがあんまり使わへん。
=== 運動麻痺が起きるメカニズム ===
運動麻痺を随意運動障害と考えると、随意運動の経路である[[皮質脊髄路]]、即ち[[錐体路]]を理解するとメカニズムの説明ができる。大脳[[中心前回]]([[一次運動野]])に存在する神経細胞が興奮するっちうことで随意運動ははじまると考えられておる。1次ニューロンの[[軸索]]は放線冠、[[内包]]後脚、中脳の大脳脚を通過する。延髄下部に存在する錐体交叉にて左翼右翼の線維が交叉し、脊髄にて2次ニューロンにシナプスチャンジし、[[前角]]細胞を興奮させる。1次ニューロンを上位運動ニューロンとええ、2次ニューロンを下位運動ニューロン(α線維)ちう。下位運動ニューロンは末梢神経として感覚線維と併走し神経筋接合部に至り、[[筋線維]]を興奮させる。この経路のどこぞが障害されれば運動麻痺は起こりえる。神経診断学では問診と身体所見によって障害部位を決定できると考えておる。感覚障害やらなんやらの随伴症状や身体所見にて障害部位を絞り込み、画像検査にて確認を行う。障害部位の予測なしに画像検査を行うと非特異的な変身との区別が困難な疾患が多い。
{| border="1" cellpadding="3" cellspacing="0" style="margin:auto; text-align:left;"
|- style="text-align:left; background-color:#CCCCCC;"
!nowrap| !!nowrap|上位運動ニューロン!!nowrap|下位運動ニューロン!!nowrap|神経筋接合部!!nowrap|筋肉
|-
|筋萎縮||認めへん||遠位筋優位||認めへん||近位筋優位
|-
|筋トーヌス||亢進(痙性麻痺)||低下(弛緩性麻痺)||正常から低下||正常から低下
|-
|深部腱反射||亢進||低下から消失||低下から消失||低下
|-
|病的反射||認める||認めへん||認めへん||認めへん
|-
|筋線維束性収縮||認めへん||認める||認めへん||認める
|-
|針筋電図||正常||神経伝導速度||正常||筋原性
|-
|神経伝導速度||正常||低下||正常||正常
|-
|反復刺激誘発筋電図||正常||正常||異常||正常
|-
|テンシロンテスト||陰性||陰性||陽性||陰性
|}
通常は障害部位は1か所と考え、診断を進めていく。上位ニューロン障害として脳血管障害、下位運動ニューロン障害としては頸椎症が頻度としては多い。上位運動ニューロン障害では脳神経外科、神経内科、下位運動ニューロン障害、筋疾患では整形外科、神経内科と専門とする診療科も異なる。なお、特殊な例としては上位運動ニューロン障害、下位運動ニューロン障害の混在する疾患としては[[筋萎縮性側索硬化症]]やらなんやらがあげられはる。神経診断学をずぅぇえええぇぇええんぶ行うとどエライ専門的となるため、病歴から[[脳血管障害]]が疑われた場合は痙性運動麻痺、腱反射の亢進、表在反射の消失、病的反射([[バビンスキー反射]]、チャドック反射)の出現、膝クローヌス(間代)、足クローヌスといった錐体路徴候のみ診察し、頭部CTにて出血評価、出血がみられなければ頭部MRI(とくに[[拡散強調画像]])といった手順で救急室では行う。ちうんは[[脳出血]]やったらば緊急手術の適応の評価、[[脳梗塞]]やったらば血栓溶解療法の適応やらなんやら緊急を要する選択をせなやったらへんさかいであるんや。
脳神経も運動線維を含み、麻痺は起こしえる。脳神経は分類学上は末梢神経であり[[視神経]]、[[嗅神経]]以外はグリア細胞は[[シュワン細胞]]であるんや。顔面神経麻痺がマネジメントとしてどエライ重要であるんや。脳血管障害によるもん以外では[[顔面神経麻痺]]の原因としては[[ベル麻痺]]が多い。ベル麻痺は29%に後遺症が残り、致死的ではおまへんもんの機能予後はよいとは言えへん。口角が下がり、水を飲むとこぼしてしもて、寝る時も眼瞼を閉じることができへんやらなんやらどエライ機能予後が悪い。ストレスが発生に関与しとり、春先にどエライ多い。原因としては[[ヘルペスウイルス]]の関与が考えられており、[[抗ウイルス薬]]と[[ステロイド]]の使用によって後遺症を残すリスクを軽減できることが知られておる、そのため救急室でもこれらの薬の処方ができることが望ましく、不慣れやったらば翌日の耳鼻科受診を促すような配慮が望ましいと考えられておる。
=== 片麻痺のマネジメント ===
片麻痺を起こす疾患の頻度ととしては脳血管障害が圧倒的にようけ、急性期治療によって予後がまるっきし異なる可能性もあることから前述のように救急室では[[神経診断学]]とは異なるアプローチを行う場合が多い。まずは[[バイタルサイン]]の確認をし、蘇生法にて対応する。脳幹病変の有無を評価し疑わしければ[[気管内挿管]]を施行する。麻痺側にて静脈路確保を行うと、脳血管障害では感覚障害の合併があるため、静脈炎の発生や点滴漏れに気がつかいへん場合があるため健側で静脈路確保を行う。健側で静脈路確保せなやったらへん状況としては片麻痺やらなんやら感覚障害を伴う場合と[[乳癌]]にて腋窩リンパ節郭清を行った場合やらなんやらがあげられはる。腋窩リンパ節郭清を行った場合は静脈炎からSIRSやらなんやらに進展するリスクがあると考えられておる。血栓溶解療法の適応からはずれへんようにするためにNGチューブやフォーレ―カテーテルの挿入は控え、動脈血採血も行わへん。できるだけ速やかに頭部CTを行い、脳出血の有無を確認する。[[心電図]]やらなんやらのルーチン検査はCTをヒイキし、空き時間を利用して行うべきであるんや。また錐体路徴候の確認やらなんやらも空き時間を利用して行う。なお、厳密には[[低血糖]]やその他の原因にて片麻痺が起こることもあり得るが、低血糖の場合は意識障害がある場合がほとんどであるし、その他の疾患に関したかて脳血管障害が否定できてからでも遅くはへん場合が多い。
;脳出血のマネジメント
救急室で行うべきこととしては、出血部位の同定を含めた診断と[[ヘルニア]]や[[水頭症]]といった合併症の評価であるんや。緊急手術の適応となる脳出血には被殼出血、小脳出血、皮質下出血、視床出血があげられはる。被殼出血、小脳出血、皮質下出血では血腫除去術、視床出血では脳室ドレナージが標準的な術式であるんや。手術適応は施設によっても異なるが、被殼出血の場合は血腫量が31ml以上の時や[[意識障害]]があるとき、脳の圧迫所見が強い時は緊急手術となる。小脳出血では血腫径が3cm以上のとき、意識障害(特にJCSⅢ-100以上)があるとき緊急手術となる。皮質下出血の場合は血腫量が30ml以上の時、意識障害が昏迷以上であるとき、正中偏位が1cm以上あるとき、中脳周囲槽の変形があるとき緊急手術となる。視床出血では脳室穿破や[[水頭症]]が認められはるとき緊急手術となる。
;脳梗塞のマネジメント
脳血管障害でCTにて出血が認められなければ脳梗塞の可能性が高い。発症から3時間以内やったら血栓溶解療法で症状が改善しえるので適応の評価を行わなやったらへん。病歴からアテローム血栓性やらなんやらの病型診断も行い、MRIまたはMRAにて発症時期も特定していく。血栓溶解療法は適応基準、慎重投与やらなんやらが定められておるため、かいやったらず専門家にコンサルトしてから血栓溶解療法は行うべきであるんや。この際、適応から外れる行為として観血的な処置があるためにNGチューブやフォーレ―カテーテルの挿入は控えておいた方がよい。
== 感覚麻痺 ==
診断学においては[[痺れ]]が感覚麻痺に相当する言葉と考えられておるもんの、一般用語では運動麻痺もしびれると表現するために感覚麻痺といった言葉で示されることが多い。感覚の異常には異常感覚、錯感覚、[[知覚過敏]]、知覚鈍麻、無感覚の5つが知られておる。'''異常感覚'''(Dysesthesia)とは感覚異常には外的刺激によらへん感覚の以上なんやし、誘因なく熱さや痛みを感じるちうことであるんや。一般用語の痺れはやらなんやらがこれに相当する。'''錯感覚'''(Paresthesia)とは外的刺激による感覚の異常なんやし、触られはっただけで冷たく感じたりするっちうことであるんや。'''知覚過敏'''(Hyperesthesia)とは感覚をつよ感じてまうことで、'''感覚鈍麻'''(Hypesthesia)とは感覚をよわ感じることであるんや。接尾語のesthesiaが感じるちう意味であり'''無感覚'''(anesthesia)は[[麻酔]]ちう意味で用いられはることが多いが、症候学的には感覚をまるっきし感じへんことであるんや。
=== 感覚麻痺が起きるメカニズム ===
thumb
感覚の伝導路は表在感覚(原始触覚、温度覚、痛覚)と[[深部感覚]]([[位置覚]]、振動覚、識別覚)で異なる。どちらも末梢神経のレベルでは運動神経と併走する。神経根のレベルでは感覚は[[後根神経節]]が存在するっちうこと、運動神経が前根を通るんに対して感覚神経は後根を通るちう点で異なる。表在覚は脊髄後角で二次ニューロンになり、中心管周辺を通過し反対側側索へいく。側索に沿って外側脊髄視床路を形成し上行し、視床で三次ニューロンとなり放線冠を通過し頭頂葉の[[中心後回]](1次感覚野)で4次ニューロンにとなる。深部感覚は同側の後索を上行する。延髄の後索核で二次ニューロンとなり反対側へ軸索を伸ばし、内側毛帯を形成し、視床で三次ニューロンとなり放線冠を通過し[[頭頂葉]]の[[中心後回]](1次感覚野)で4次ニューロンにとなる。こへんな風に脊髄での走行がまるっきし異なるため、脊髄障害では解離性感覚障害となることがあるんや。触覚は深部感覚と表在覚両方の経路があると考えられており、表在覚の方を原始触覚として区別するっちうことがあるんや。上記、感覚伝導路のうちどこが障害されれば感覚麻痺は起こりえる。
=== 感覚麻痺の分類 ===
thumb
感覚麻痺(感覚障害)は障害部位によって分類されることが多い。脳疾患であるんか、ミエロパチーか根症か[[ニューロパチー]]かentrap syndromeであるんかによって分類するっちうことでコンサルトすべき診療科が決定されてくる。分類の仕方は神経診断学に基づくが、緊急の場合はその限りではおまへんんは運動麻痺と同様であるんや。感覚障害の部位、特にデルマトームに沿うんかちうこと、合併する運動障害の評価、特にUMD(上位運動ニューロン障害)かLMD(下位運動ニューロン障害)かといった点、その他の神経学的異常所見によって評価される。ミエロパチー、ニューロパチー、根症の鑑別はSEP(深部感覚の検査)、神経伝導速度といった電気生理学、髄液検査やらなんやらを駆使するっちうことが多い。
;脳疾患
頻度としては殆どが脳血管障害によるもんであるんや。運動麻痺と一致した部分に感覚麻痺も生じておる。脳幹より上位の障害であると脳神経の障害部位と片麻痺が同側となっておる。
;ミエロパチー(myelopathy)
脊髄障害のことであるんや。解離性感覚障害やらなんやらがおこることもあるんや。デルマトームの多分節にわたり感覚麻痺が生じる。典型的には障害部位よりも下はずぅぇえええぇぇええんぶ障害される。殿部はS領域となるため感覚麻痺の評価に適しておる。また、脊髄障害では膀胱直腸障害やらなんやら他の症状が出現しやすい。
;根症(radiculopathy)
神経根障害であるんや。感覚麻痺の部位はデルマトームの1分節となる。後根神経節障害ちうもんもあるんや。
;ニューロパチー(neuropathy)
ニューロパチーは、[[末梢神経]]の正常な伝導が障害される病態であるんや。典型的には手足の先端から感覚麻痺が生じて、中枢側に向かって進行してくる。足から生じてくるのが一般的でglove&stocking型の感覚障害で有名であるんや。神経解剖学的に説明がつかへんし、ADLの低下もみられへん場合は放置したかて致死的な疾患やへん場合が多い。こういった場合を心因性疾患とする。例外としては、時間的、空間的に多発する[[脱髄性疾患]]であるんや。障害される神経の種類は[[運動神経]]、[[感覚神経]]、[[自律神経]]に及び、ミクロ的な障害部位は[[軸索]]やったり[[髄鞘]]([[シュワン細胞]])やったりする。マクロ的にどこが障害されるかによちう、単神経炎・多発性単神経炎・[[多発神経炎]]に区別される。
主な疾患は、[[ギラン・バレー症候群]]、[[フィッシャー症候群]]、[[慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー]]が炎症性・感染性のもんとして有名なんやし、その他の原因によるもんに糖尿病性ニューロパチー、腫瘍随伴性ニューロパチー、[[クロウ・フカセ症候群|Crow-Fukase症候群]]、せやなかったら[[全身性エリテマトーデス|SLE]]、PN等の[[膠原病]]性[[血管炎]]に伴うニューロパチー、[[シャルコー・マリー・トゥース病]]、家族性アミロイド多発ニューロパチー等があるんや。外因性としてはアルコール、ヒ素、水銀、タリウム、スチレン、nヘキサン、またビタミン欠乏によりベリベリやらなんやらも有名であるんや。薬剤性としてはイソニアジトやビンクスリチンによるもんが多い。
ニューロパチーは大雑把に脱髄性のもんと軸索変性性のもんに分けられはる。軸索変性性の場合は急性のもんやmyelin ovoidが、慢性のもんやaxonal sproutingが認められはる。軸索変性性ニューロパチーの場合は障害する神経線維の選択性が認められはることがあるんや。大径線維優位型はAβ線維の障害のため深部感覚の障害が目立つ。特に後根神経節に病変の主座がある場合は感覚失調を伴う。こういった病気はPNSやシェーグレン症候群が知られておる。小径線維優位型AδおよびC線維の表在感覚や自律神経障害が目立ち、痛みを伴うことが多い。こら[[アミロイドーシス]]や一部の糖尿病で見られておる。痛みのメカニズムは内部リンク[[疼痛]]に詳しおまんねん。
[[後根神経節]]に病変があると考えられはる場合は[[シェーグレン症候群]]や[[傍腫瘍症候群]](PNS)を考える。後根神経節の障害では経過が長くともaxonal aproutingが認められへんのが特徴であるんや。
;entrap syndorome
手根管症候群や胸郭出口症候群であるんや。末梢神経が骨や靭帯によって圧迫され、それ以下の末梢神経が障害される。
=== 緊急を要する感覚麻痺とプライマリケア ===
動脈閉塞、急性動脈解離、脳出血、脳梗塞といった、血管障害、脊髄硬膜外膿瘍や急性脊髄硬膜下血腫やらなんやらミエロパチーを起こす疾患、[[ギラン・バレー症候群]]、[[重症筋無力症]]、[[皮膚筋炎]]、多発性筋炎、[[多発性硬化症]]といった呼吸麻痺をおこす神経筋疾患は用心が必要であるんや。特に[[ギラン・バレー症候群]]は進行が早いため用心が必要であるんや。これらの疾患は予め診断がついておる場合もようけ、また感覚障害単独で来院されることはまず考えにくい。
基本的には手のしびれでは頸椎症を始めとする頸椎疾患と[[手根管症候群]]、足のしびれやったらば脊髄病変(頚椎、胸椎、腰椎どれでもよい)か多発神経炎の計4つを診断できれば、日常診療では十分であるんや。
==== 足の痺れ ====
;脊髄病変
:頚部、胸部、腰部どこの障害でも足のしびれは起こりえる。脊髄病変を積極的に疑う所見としては膀胱直腸障害であるんや。歩行障害も認める場合がようけ、大抵は階段を下るときが辛いゆう。階段を下るとき辛いゆうんは下肢の痙性麻痺や運動失調をつよ疑うエピソードであるんや。上りが辛いゆう場合は筋力低下は疑えるもんの診断学的価値はかいなり低い情報となってまう。怒責や咳、くしゃみによって[[放散痛]]が生じることも脊髄病変では特徴的であるんや。脊髄病変を起こしやすい職業歴として柔道、ラグビー、レスリングの選手やタクの運転手が多いゆうことも念頭に置くべきであるんや。
;多発神経炎
:脊髄病変を疑えるエピソードがあらへん場合は[[多発神経炎]](ポリニューロパチー)を考える。この病気ではつま先から徐々に症状が上行してきて、運動神経よりも感覚神経の方が優位に障害されるのが特徴的であるんや。多発神経炎は原因疾患の検索が重要であるんや。[[糖尿病]]、アルコール、薬剤性やらなんやらが高頻度であるんや。[[悪性腫瘍]]や全身性血管炎でも生じうる。
==== 手の痺れ ====
;頚髄病変
:脊髄の病変でも手の痺れは生じうる。手がしびれる場合、その責任病巣は頚髄なんやし、頸椎症が原因疾患であることがどエライ多い。痺れの領域は基本的にはデルマトームに従う。足の痺れの場合と同じで膀胱直腸障害、階段を下る際に辛い、怒責で放散痛が生じる、スポーツ選手やタクドライバーに多い。
;[[手根管症候群]]
:手根管症候群は特発性のもんや中年の女性に多い。長時間のパソコン、キーボード操作やピアノの演奏やらなんやらが誘発因子になることもあるんや。基礎疾患としては[[妊娠]]、[[透析]]、[[甲状腺機能低下症]]、[[先端巨大症]]といったもんがあるんや。特に[[甲状腺機能低下症]]は手根管症候群が受診契機になることもあるんや。筋肥大や嗄声といった症状にも用心したい。ファーレンテスト(Phalen Test、手首関節を屈曲させることで痺れを誘発する)やティネル徴候(Tinel Sign、手根管の部分で[[正中神経]]を叩くことで痺れを誘発する)といった神経徴候が有名であるんや。[[感度]]、[[特異度]]ともに優れておる検査としてはハンドダイアグラムちう検査があるんや。こら痺れておる領域を患者に絵で描いてもらうもさかい、正中神経の支配領域である第1~3指のみである場合はかいなり手根管症候群が疑わしおまんねん。掌にまで及ぶとほかの疾患の合併の可能性もあるんや。この
==== 脳卒中との関係 ====
しびれを主訴にする患者のようけ、[[脳血管障害]]の可能性を考えて来院する。近年はTIAちう能書きが確立し[[脳血管障害]]の前兆であるんではおまへんかと受診する場合が多い。基本的には痺れは[[脳血管障害]]と関係へん。但し以下の場合は脳血管障害の可能性があるんや。
;明らかいな急性発症であり筋脱力を伴う場合
;片側の上下肢の分布であるとき
;脳血管障害を積極的に疑う分布の場合(顔と片側と反対側の上下肢とか口と手掌やらなんやら)
こういった場合を除き、脳血管障害の心配はへんことを告げることが大切であるんや。安易に抗血栓薬([[アスピリン]]やらなんやら)を処方すなあかんではおまへん。高齢者はしびれを主訴に来院する場合が多いが、どへんなんや検索したかて重要な疾患が見つさかいず特発性良性慢性しびれちう診断になってまうことが多い。
痺れで重要な疾患としては顔面の痺れちうもんがあるんや。こら脳血管障害や悪性腫瘍の可能性が高く、精査が必要であるんや。また亜急性、即ち数週間で経過する四肢の痺れも悪性腫瘍や血管炎の可能性が高い。
== 救急室における神経診断学 ==
神経診断は[[神経診断学]]に基づき、病因診断、解剖学的診断、臨床診断と3stepで行うのが通常であるんや。解剖学的診断を行うための診察項目はどエライ多い。救急室ではこへんな風な対応は不可能なことがようけ、頻度としたかて救急室に来院する神経病が疑われる患者のようけは[[脳血管障害]]であるため、より簡便なスクリーニング法が発達してきたちうわけや。スクリーニング診察はあくまでも神経病の存在診断のために行うもんなんやし、体系やった神経診断学に基づく診断に比べ、局所診断、病因診断の情報は少へんもんの、短時間で行えることから救急室では好まれる。スクリーニング診察の項目としては、意識、脳神経、運動神経、感覚神経、歩行、姿勢、髄膜刺激症状、自律神経、協調運動、深部腱反射(特に病的反射)やらなんやらを一通り行う場合が多い。
スクリーニングの項目だけでも脳血管障害んかいなりの情報を得ることができる。殆どの脳血管障害が片麻痺を主訴とするため、これを想定する。まず顔面に麻痺が存在せん頸部以下の片麻痺やったら脊髄レベルの血管障害と考えることができる。片麻痺と対側に顔面麻痺がある場合、すなわち交代性麻痺やったら脳幹障害であるんや。脳幹障害は[[気管内挿管]]の必要が高なる。咽頭反射の消失やらなんやら球麻痺症状、交代性麻痺はいずれも気管内挿管を積極的に考える状態であるんや。
頭部CTを緊急で行う必要がある(救急室のマネジメントとしては脳出血と診断がついた時点で局在診断は行っても治療方針としては影響は出へん。)。あいまに行う神経診断としては脳神経の検査であるんや。脳神経Ⅰ~Ⅳ麻痺やったらば[[中脳]]、脳神経Ⅴ~Ⅷ麻痺やったらば[[橋]]、脳神経Ⅸ~ⅩⅡ麻痺やったらば[[延髄]]が責任病巣である可能性が高い。片麻痺と同側に顔面麻痺が認められはる場合は皮質下レベルか皮質レベルの障害であるんや。この場合テント上病変であるんで瞳孔偏位が存在したらそれだけで偏位方向の皮質レベルの障害である(瞳孔偏位はテント上病変では病側を向き、テント下病変では健側を向く)。瞳孔偏位が認められなければ、皮質症状が認められはるか、認められへんかで鑑別する。皮質症状が存在したら皮質レベルの障害なんやし、皮質症状が存在せん、せやへんかったら感覚障害が存在せな皮質下レベル、即ちラクナ梗塞であるんや。[[皮質症状]]は優位半球の皮質症状としては[[失語]]が有名なんやし、劣位半球皮質症状としては
障害血管の目安としてはそれ以外の高次機能障害、失認、失行、[[半側空間シカト]]があげられはる。また両側大脳皮質の機能として、複合感覚もあるため、これも皮質症状とする。広範な皮質症状としては[[意識障害]]もあげられはる。
障害血管に関しては皮質レベルの障害の場合は前部大脳循環系の障害が疑わしおまんねん。下肢の障害が強ければ前大脳動脈領域、顔面や上肢の障害が強ければ中大脳動脈領域、同名半盲や幻視が認められれば後大脳動脈領域が疑わしおまんねん。皮質下、特に[[内包]]、[[視床]]、[[大脳基底核]]は穿通枝によって主に灌流されておるため、皮質症状が存在せぇへんかったり、感覚麻痺を伴わへん運動麻痺や運動麻痺を伴わへん感覚麻痺はラクナ梗塞を疑う。
== 麻痺の治療 ==
運動麻痺も感覚麻痺も徴候なんやし、治療は原因疾患の治療を行うのが一般的であるんや。せやけど痺れを主訴とした来院も多いため、対症療法を一部示す。
;特発性良性慢性しびれ
軽症やったらアリナミンF®(ビタミンB1)50mg 1×やメチコバール(メコバラミン、ビタミンB12)1500μg 3×、ユベラN®(トコフェノール、ビタミンE)100mg 2×、ビタメジンカプセル®50mg 1×(複合ビタミン剤)やらなんやらを使用する。また心因性の場合も多いため、[[抗不安薬]]も併用するっちうこともあるんや。
;末梢神経障害
糖尿病性ニューロパチーの場合は軽症の場合はキネダック®150mg 3×(エパレスタット)がよう用いられはる。キネダックはアルドース還元酵素の阻害薬であり[[アルドース]]還元酵素を特異的に阻害し神経内の[[ソルビトール]]蓄積を抑制する。神経が不可逆的阻害を受けていなければ有効とされておる。糖尿病性神経症の疼痛やしびれに使用されることが多い。尿が赤なるが、そら特に問題とやったらへん。痛みがつよなってきた場合はキネダック®150mg 3×に加えてメキシチール®(メキシレチン)300mg 3×を併用する場合が多い。メキシチールはⅠb群の[[抗不整脈薬]]なんやし、不整脈を誘発するっちうことがあるんで投与まえに[[心電図]]を検査するっちうことが望ましおまんねん。1か月をめどに使用し効果がな2週間で退薬する。また痛みが難治性となりよった場合はテグレトール®400mg 2×(カルバマゼピン)を使用するっちうことも多い。この痛みによってうつ状態となることもようけ、[[抗うつ薬]]、[[抗不安薬]]が効果的な場合もあるんや。トフラニール®30mg 3×(イミプラミン)は三環系抗うつ薬なんやし、セルシン6mg 3×([[ジアゼパム]])は抗不安薬であるんや。セルシン®とテグレトール®の併用はしばしば行われる。残念ながら日常生活に支障がでるほどの糖尿病性神経症では神経が不可逆的な変身を起こしとりこれらの薬物が効果的やへん場合も多い。その場合、痛み、しびれは訴えへんこともあるんや。
アルコールや栄養障害のニューロパチーを疑った場合はビタメジンカプセル(50)3C3×とメチコバール 1500μg 3×を併用するっちうこともあるんや。
;手根管症候群
この場合は原疾患の治療とNSAIDsによる疼痛を行う場合が多い。浮腫に対してラシックス®(フロセミド);40mg1×も使用される。
;神経痛
テグレトール®(カルバマゼピン)が頻用される。帯状疱疹後やらなんやらではフランドルテープ®が効果的なこともあるんや。
== ギャラリー ==
File:Spinal nerve-ja.svg|脊髄の構造
File:Homunculus-ja.png|運動野と感覚野
File:Medulla spinalis - tracts - English.svg|脊髄の伝導路
Image:Gray759.png|感覚伝導路(脊髄視床路)。
Image:Gray770.png|脊髄および髄膜の横断面模式図。
Image:Gray796.png|脊髄の一部の右翼側面像。硬膜を切開して神経根が見えるようにしたトコ。
== 参考文献 ==
*問題解決型 救急初期診療 ISBN 426012255X
*問題解決型 救急初期検査 ISBN 4260004638
*Step By Step! 初期診療アプローチ(第4巻)ISBN 4903331687
*神経内科ケーススタディ ISBN 4880024252
*Q&Aとイラストで学ぶ神経内科 ISBN 4880024635
*マッシー池田の神経内科快刀乱麻!(下巻) ISBN 4903331261
== 関連項目 ==
* [[急性灰白髄炎|小児麻痺]]
* 圧迫性脊髄麻痺(ポット麻痺、ポット三徴候)
* [[進行麻痺]]
* [[急性灰白髄炎]](ポリオ)
{{DEFAULTSORT:まひ}}
[[Category:神経学]]
[[Category:症候]]
[[Category:救急医学]]
{{Medical-stub}}
[[ay:Such'u]]
[[bg:Парализа]]
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[[de:Lähmung]]
[[en:Paralysis]]
[[eo:Paralizo]]
[[es:Parálisis]]
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[[fi:Halvaus]]
[[fr:Paralysie]]
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